ポレポレだより「2011年秋」


ポレポレだより2010年冬

〜ミンチカツ〜
あのなつかしい日々 Vol.4

子ども達のすさまじい食欲……
夕食にミンチカツを出した。まだ1つ皿に残っている。仕事から帰ってこない父ちゃんの分だ。
「もう1つ食べた〜い」「これちょうだ〜い」「ダメ、父ちゃんのミンチカツ…」
「わかっとる……そんでもこれ食べた〜い」あと1コ残っているミンチカツに、いつでも飛びかからんばかりの子ども達…。
「そんなに食べたいんやったら餅でも焼いて食べない!」と言うと「ワーイ」と、今度は餅に向かって突進…。
腹いっぱい食事をした後の事である。まったくどんな胃袋をしてるんだろう!この子たち…。
「そんなにミンチカツが食べたいんやったら、明日の夕食は自分たちで作って腹いっぱい食べな…」と言うと「本当にいいの?」「ひき肉どっさり入れよう」とはりきる2人の姉ちゃん達…。
次の日の夕方、職場から電話をする。「もしもし」電話に出たのは息子だ。「姉ちゃんよんで…」と言うと「姉ちゃんはミンチカツ作っとるで、今いそがしいで、ボクがかわりに聞きます」と息子は電話から離れない。
「姉ちゃんの手伝いをしなさい」と言うと「ボクやっとるよ!皿もってやっとるよ!」の返事。
「火に気をつけて」「あぶないから下ごしらえだけでいいよ、母ちゃんが帰ってきてからあげるで…」と言うと「もう、いっぱいあげてあるよ、5つも3つも4つも…」と息子…。仕事を終えてあわてて家に帰ると家中プーンと油のいい香りがしている。テーブルの上にはミンチカツがキャベツのせん切りをそえてのっけてある。「みんな食べたの?」「うん、待ちきれんて姉ちゃんたち、もう食べてまったで、ボクも食べたよ」「テスト勉強しんならんで姉ちゃんたち早めに風呂に入っとるよ…」「そうか、ありがとう。じゃあ、母ちゃんも食べるな」と子ども達が作ってくれたミンチカツを食べていると、下の姉ちゃんが風呂からあがってきて報告をした。「卵が無かったから、隣の家へかりにいったけど、隣でも卵が1コたらんくらいやでダメと言われた。仕方ないので吾朗のお年玉から200円出して店に買いに行かせたけど卵1パック260円だったのでお金が足りなくてダメ……しかたないで、こんどは上に住んでいるおじいちゃんとおばあちゃんの家へかりに行ったら、すぐに出してきてくれて1コじゃなくて、1パックみんなもってっていいよ…って卵をくれたよ」その報告に「そうか…それじゃすぐにでも返しにいかんとな」と言うと「返さんでもいい…あげるって」「良かったなぁ…母ちゃんもお礼を言っておくでな」ミンチカツをほおばりながら子ども達とそんな会話をした。そこへ上の姉ちゃんが風呂から出てきて得意げに「うんまいろ」と言う。「うんまいよ…でも、ちょっとベタついとるな。ひき肉の量が多すぎたとちがう?」と言うと2人の姉ちゃん
「そうかなぁ…ちょっとベタついたかなぁ」と承知する。自分でやってみてよーくわかったようだ。何を作るにも知恵や経験がいることを…。
今度うまく作れたら、あげたてのミンチカツ持っていこ〜っと、卵のお礼に!

 

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ポレポレだより「2011年夏」


ポレポレだより2010年冬

〜ほうずき〜
父とくらした日々 Vol.1

私たちの子育てを助けてくれた実家の父母が亡くなってから、長い歳月が流れました。
両親は50数年の時を共に過ごしましたが、私たち子どもの目からみると、父と母は特別に仲の良い夫婦にはみえませんでした…。でも、あの戦中戦後の食糧難時代に4人の子どもをよく育ててくれたと思います。父はその頃、小さな米屋を営んでおりましたが、友人たちと一緒に米を商う会社をつくろうと奔走していました。
父は気難しい人で、いつもシカメッ面で、笑顔など見たことがありませんでした。
でも、子どもたちは皆、近くの川や山や道などで毎日遊びほうけていました。夕方になると♪ヒャラーリ ヒャラリコ ヒャリーコ ヒャラレロ♪流れてくる「笛吹童子」や「オテナの塔」など新諸国物語に胸ときめかし、夕方になると「ガーガー」と雑音がするラジオに夢中でしがみついて聞いていました。当時の子どもたちにとって唯一の文化だったのです。
ある日、わたしと姉はラジオの前でくちゲンカをしました。そばにいた父が「やかましい」とどなり、2人の首根っこをつかむとおもいっきり壁に投げつけたのです。悲鳴をあげて泣く私たちの声を聞いて、とんで来た母が父をにらみつけ大声で怒鳴りました
「何をしんさる…女の子にこんなことをして…顔にキズでもついたらどうしんさる!」
いつもやさしい母のすごい剣幕に父は何も言えずだまって立っていました。
5才の頃だったと思う……私は母の財布から5円を盗んだ! 店に並んだ真っ赤なほうすきがどうしても欲しかったのだ。
口に入れると甘酸っぱい汁が出てきて、上手に丸い袋にするとグチュグチュと音が出るのです。ほうずきを抱きしめて、私の心はうれしさではちきれそうでした。
でも、そのほうずきはすぐに私を奈落の底へ落としました。「ごめんなさい、もうしません」どんなにあやまっても父は許してくれません。私を布団でぐるぐるまきにすると押し入れへほかりこんだのです。私は泣き叫び「母ちゃん!母ちゃん」と呼びました。遠くで母の声がしました。「アンタ、なんてことをしんさるんや…」母が押し入れの戸をすごい勢いで開け、グルグルまきにされた私を救いだしてくれました。
あの日から数十年の時が流れ……老人性認知症になった父は、最後の日々を私たち家族と一緒に過ごしました。みんなで食事のテーブルを囲んでいた時、突然私を指さし「あんたさん、どなたさんですかいな」と言ったのです。
「えーっ」みんなびっくり!「じいちゃんの今、一番大切な人やよ…」と夫が言うと、父は手を叩き「あぁ…わかった!母ちゃんや」と言ったのです。
「えーっ」みんなは又、又、びっくり!

すっかり童子になった父は、あの日のほうずきの赤い色をおぼえていたかしら?
母がむかえにきたのは、2年後の11月…同じ紅葉の舟に揺られて、あの世へ旅立っていきました。

 

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ポレポレだより「2011年春」


ポレポレだより2010年冬

〜〜私はスキーが滑れない〜〜
あのなつかしい日々 Vol.3

雪が降ると必ず思い出すシーンがある。
家族で近くのスキー場へ行った日のことだ!夫が根気よくスキーを教えてくれるので、子ども達はスキー場へ行くのが大好き!朝早くから「母ちゃん早く…早く」と自動車に乗り込んで私をせかせる。
「オーオー、張り切っとるなぁ…」
「さぁ…出発!」
スキー場に着くとみんなすぐにリフト乗り場に直行。私はいつも下の娘の子守りと弁当係「つまらん!」。スキーを楽しむ子どもと夫がいつもより格好よく見えるから不思議だ……。
ロッジの窓からは青くて美しい空が見える「いいなぁ…私もリフトに乗ってみたいなぁ」とつぶやいた時、夫が私たちの様子をみに戻ってきた。私は思わず「あっ、いいところへ来てくれた、この子をたのむ…」と言って無理矢理、夫の腕の中へ娘を押しこんで外へ飛び出した。「キャッホー!」「気持ちいい!」さっそくスキーを借りに走った…。スキーを履き、近づいてきたリフトに座るともう気分は爽快!
「♪山は白がね 朝日をあびて〜♪ 歌もうたいたくなるっうもんだぁ…」
山の上で「ヨッシャ」と声だけ威勢よくリフトから降りたその時「ハッ!」と気がついた…
「私はスキーが滑れない!」「ズーズー」とスキーが勝手に前へ動き出し「ズデーン」と思い切り転んでしまった。「どうしよう……」はるか下の方に人がいる。【ここは地獄谷】と書いた小さな標示が目に入った。「えぇっ!ここがあの地獄谷!?」
「どうやって、下まで行こう?」やっとで立ち上がったとたん、「ズーズー」とまたスキーが勝手に動き出した。止めるには転ぶしきゃない「ドデン!」と思いっ切り尻もちをついた。「痛い!」「だれか助けて!」まわりには人はだ〜れもいない…「とにかく下へ行こう!」転んでは起き少しづつ下へ降りていった。
「ザーッ」とスキーの止まる音がして「母ちゃん大丈夫?」息子の声だ!心配そうにこっちを見ている。「平気、平気」と言って起き上がろうとしたが起きれない。息子は少しづつ私に近づいてきた。「ボクのストックにつかまって!」とストックを差し出した。「ありがとう!」何とか起き上がってみたものの、また「ズデン!」「勝手に動くスキーが悪い!」と叫んだとたん「ズデーン!」息子は見かねて、ゆっくり私のそばに近づいてきた「母ちゃん、スキーは斜めにすると止まるよ」「わかっとるさ」と起き上がって「ズデーン!」
転んでは起きてを繰り返しながらやっとでロッジにたどり着いた。ヘトヘトになってスキーを外しロッジの中へ入っていくと「な、な、なんと娘をずり落ちそうに抱っこした夫がストーブのそばでコックリコックリと居眠りをしているじゃあ〜りませんか…」痛む腰をさすりさすり叫んだ!
「私はスキーが滑れないの!」

ロッジの窓から青くて美しい空が見えた!

(文)中沢由美子

 

だより

 

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ポレポレだより「2010年冬」


ポレポレだより2010年冬

〜あわてんぼうのサンタクロース〜
あのなつかしい日々 Vol.2

子育ての頃、丘の上に家があった……我が家である。
私たちのほかにだーれも住んでいない、くねくね坂をのぼった所にあった。
引っ越したその日に「クマが出ました…気をつけてください!」と言われビックリ…ドアの小さな丸い穴から子どもたちを後ろ手にかばい、目をキョロキョロさせて見ていたことを思い出す。
夜になると真っ暗になってしまうのに、なぜか友達がよく訪ねてきてくれ一緒に食事したり歌をうたったり、にぎやかな家だった。
そのうち隣に家が一軒建った時は内心「ホッ」とした。
この家で4人の子供たちは育っていった。「なつかしい思いでの家」だ。
12月になると外のモミの木にピッカピカとイルミネーションが光り出し子どもたちの待っていたクリスマス!
毎年、友だちファミリーがお酒や料理を持ってクリスマスの夜を楽しみにやってくる。
キャンドルサービスの灯りが子どもたちの目の中でキラキラと輝いて美しかった…!
絵本を読んだりゲームをしたり歌ったり踊ったり、楽しい時間は「アッ」という間に過ぎてみんなが「アリガトウ…バイバイ」と帰っていった。子どもたちははしゃぎすぎて瞼がひっつきそう。「おやすみ」と布団にもぐりこんでいく。小さな息子は眠い目をこすりながら「母ちゃん、サンタさんは僕のところへプレゼント持ってきてくれるかなぁ…」とつぶやいて眠った。用意していたプレゼントを子どもたちの枕元に置きにいく頃には私はくたびれて、玄関でプレゼントを抱えたまま転んでしまった。そして、プレゼントをそのままにして寝床へ直行…。朝まで眠り込んでしまった。
次の朝……息子の『スットンキョウ』な声で目がさめた。
「母ちゃん…やっぱりサンタさん来てくれたよ!」
「ゆうべのサンタクロースはよっぽど忙しかったんやなァ…! プレゼントを玄関にほかりこんであるもん…!!」と息子はプレゼントを抱きしめながら言った。


♪あわてんぼうのサンタクロースがやって来た♪
♪リンリンリン リンリンリン リンリンリン♪

(文)中沢由美子

 

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ポレポレだより「2010年秋」


ポレポレ

〜黄色い自転車〜
あのなつかしい日々 Vol.1

 

子育ての最中には見えないものがある……それは子どもの世界……。
年を重ねた今、過ぎ去った日々が思い出のかなたから昨日のことの様によみがえってくる。あの日の声まで聞こえてくるようで不思議だ……!
私たちは、どの子にも最初の自転車を買った覚えがない。
上の2人の子は、たしか知人からいただいた中古自転車に乗っていた。
弟が小学2年生になったある日、2人は私に言った。「吾朗に自転車を買ってやったら…!このへんの男の子たちはどの子もいい自転車に乗っとるよ!」
「そうか、わかった!2年生になったし、姉ちゃんたちの自転車で乗れるようになっとるで買ってやるよ…」と返事をし、さっそく、翌日、息子を連れて自転車を買いに出かけた。息子は肩を上げたり下げたりうれしさをかくしきれない。ピョンピョンはねながらついてきた。
子ども用の自転車は意外と値段が高かった…「あれ…」とサイフをのぞきこんでいる私を見て息子は「すまなそう」な表情で「お金ある?」と聞いた。
結局「今度、買ってあげるから…」と言って帰ってきた。私の前をしょんぼり歩く息子の小さな背中には「がっかり…」と書いてあるようで「すぐに買ってあげるから」と呼びかけた。
それから2,3日した日曜日の朝、子どもの声で目がさめた…。
車庫で子どもたちのにぎやかな声がする。
「何をしてるのかなァ…」車庫へ行ってみてビックリ!
思わず「ヒェー!」と声をあげてしまった。
段ボールを敷いた上に黄色に塗られた自転車が置かれていた。
3人は黄色のペンキのハケを持って笑っている。朝早く起きて塗ったらしい。姉ちゃんの中古自転車は黄色のペンキで塗られて「ヘンシーン!」
息子は晴れて近所の男の子たちの仲間入りだ。ペロペロキャンディーなめながらみんなと一緒に黄色い自転車をこいでいく。
ずいぶん遠くまで行ったみたい…

(文)中沢由美子


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ポレポレだより「2010夏」


ポレポレ

〜命はつながる〜

 

今年の冬は長く、春のおとずれを木も草も動物たちもみんなが待っていた。
ポレポレハウス裏の残り雪が5月の初めやっと消えた。
「さぁ…春だァ!」うきうきとした気持で草原を歩いていると、川辺に一本の木が倒れていた…「猫柳」の木だ!ヤナギ科の落葉低木で、よく川岸に自生する。
私も小さい頃、この木を「ネコネコ」と呼んで、春一番、川のそばで見つけると春を感じてうれしかった。
倒れた木をよ〜く見ると、黒く枯れた枝の先に薄緑の葉がわずかについている。1週間ほどすると、葉の上に小さな穂のようなものが突き出し、日に日に大きくなり猫の毛の様にもっこり、ふんわりした穂は絹のようにやわらかい。横たわる木は枝先にかわいい「花穂」を残していた。
私たちも子育ての時があった。
4人の子どもたちと泣いたり笑ったり共に生きてきた。時が流れて、いつのまにやら2人だけになってしまった。
思い出の品だけ私たちのもとに残っている。写真・可愛い文・絵・通信簿・テスト用紙などなど……
その上、孫たちが「おばあちゃんにあげる!」と言って拾ってくれた石ころや葉っぱまで…。
「フー」とため息をついていると私の体から何かが消えていく。「これって何…!」
夫(つれあい)は、そんな私に言った「命はつながっているんだし、いつの日か僕らも、あの木の様に倒れて土に戻っていくのだから」と……。
そして「最後は、このポレポレ病院へどーぞ。猫や犬やヤギたち優秀なスタッフが揃ってお待ちしてますよ…」と。

(文)中沢由美子

ポレポレ

 

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ポレポレハウス「2010春」


ポレポレ

〜小さき命 ペコ〜

2009年秋の終わりに、14年間共に暮らした犬が死にました。別れの日の姿を思い出しては泣き、可愛かった動作の一つ一つを思い出しては泣いていました。
ことのほかきびしく長い冬…降りしきる雪の中に心がうまっていくのを感じました。
「元気を出して…!」とみんなに励まされ私たちは一大決心をしました。
「もう一回犬を飼おう…」「どこかにいる悲しいめにあっている犬を見つけよう…」と、犬の里親になることを決めたのです。
さっそく知人の紹介で「愛知県動物愛護協会」へ申し込んだところ、数日して返事がありました。「ご希望のマルチーズ(雄)が今、豊川市で保護されています」とのこと…。
私たちは「どんな犬だろう」と胸おどらせて名古屋まで会いに行きました。
「この犬です」と私たちの前にあらわれた犬を見てビックリ……うす汚れた毛はモジャモジャで伸び放題…顔がどこにあるのかわからないほど…まるで「汚れたモップ」のような犬でした。
両耳はあきらかに病気があるらしく、真っ黒にただれて悪臭も出ています。
以前の犬からみると頭ひとつくらい大きく「エーッ! イメージと違う!」と叫んでいました。
とても多動で常に動き回り落ち着きません。「どうですか?」と愛護協会の方から聞かれても
「どうしよう…」とすぐに返事ができません。「各種の予防注射は済んでいます」「去勢手術も済んでいます」と書類を渡され「ハ、ハイ連れて行きます」と答えてしまいました。
不安な気持ちで一路ポレポレハウスへ…後部座席に犬と座った私は不安的中…おしっこをひっかけられてしまいました。ガラスごしに過ぎていく町を見て泣きさけぶ姿があわれでなりません。「もうすぐ着くから」となだめすかしやっとのことでポレポレハウスに着きました。
翌日、近くのペットサロンへ行き、シャンプーをしてもらうと驚きました……汚れた毛の下からガリガリに痩せた犬があらわれたのです。
「かわいそうに、ひもじかったんだ…」「3才くらいかしら?」
この子が今までどんなめにあってきたか想像がつきます。「もう大丈夫!」と何度も話しかけ
身体をなでてやりました。
ポレポレハウスの先住者、猫のユーちゃんは「猫パンチ」一発!かませ出迎えてくれ、ヤギのゆきちゃんは頭突きで応戦…でも2匹はしばらくすると静かにやさしく鼻をすり寄せて迎えてくれました。
猫のエサはよこどりするし、ヤギのうんこを食べるし、自分のウンコも食べるし、この腹ぺこ犬に、私たち(2人と2匹)は 満場一致で「ペコ」と名付けました。

(文)中沢由美子

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ポレポレハウス「2009冬」


ポレポレ

〜小さき命〜

 ポレポレハウスの看板犬チルチル(マルチーズ)は2009年11月22日 夜9時30分、私たちが見守る中、小さな命を閉じました。
  とても勇猛なところと可愛らしさを両方そなえた犬でした。ポレポレハウスの優秀なスタッフでもありました。

 今年の春頃から、草原を元気に走りまわる姿が見られなくなり「散歩に行こうよ…」とさそっても、ついてこなくなりました。無理やり連れて歩き出すと、悲しげに首をかしげジーッと草原を見つめていました。
  毎日の日課だった朝の「一人散歩」もあんなに好きだったのにドアを開けてやっても、外へ出ようとしませんでした。でも、ポレポレハウスへお客様が来てくださると大きな声で「いらっしゃいませ!」と
ほえまくり、お客様のにおいをかぐと、たちまちフレンドリーになり、おだやかに過ごしていました。「ポレポレハウスの人気者…チルチル」に会いたいと、何度もたずねて下さるお客さまもありました。
  夜は私たちと寝たがるようになり、一緒にベッドイン…「スースーピー」とかわいい寝息をたてていました。
  22日の朝6時頃、悲鳴のような声をあげて私たちを起こしたチルチルは苦しみ出しました。いつものあの可愛い黒い目で私たちに苦しさを訴えて15時間… ゼーゼーと荒い息づかいが一瞬止まり、しばらく静かな時が流れましたが、再び激しい苦しさがおそってきて、私は思わずチルチルを抱き上げ抱きしめた時、大きな激しい息づかいはパタリと止まり「小さな命」は、私の胸の中で消えました。
  やっと楽になれたチルチル…「えらかった! 苦しかった! よくがんばったネ」と心からほめてやりました。
 
     今まで 私たちと一緒に生きてくれて ありがとう!
           そして…さようなら さようなら チルチル!


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ポレポレハウス「2009秋」


ポレポレ

〜飛べトンビ〜

飛べ飛べトンビ 空高く楽しげにわをかいて…

ピーヨロ ピーヨロ ピーヨロ 

高らかにわをかいて

高らかにわをかいて…絵本美術館の裏には広い草原があり、時おり、つがいらしい2羽のトビが舞いおりる。すぐ近くの林の中に巣があるらしい。草刈のすんだ草原にはトビだけでなく他の鳥たちもエサをついばみにやって来て、にぎやかだ…。
トビは空の高い所を悠々と飛び、時々「ピー」とかん高い声をあげ、ゆっくりゆったり輪をかいて飛ぶ……。羽根を広げると1メートルくらいはあるだろう大きな鳥だ!草原で仲良くエサをついばむ姿を写真にとろうとしても、少しの音に敏感で、すぐ飛びたってしまう。

ある日、道路側の林の中で1匹のトビが羽根をバタつかせフワフワと飛んでいる。よく見るとまわりに何匹かのカラスが同じように羽根をバタつかせトビをつつこうとしている。トビは必死で逃げようとしているのだが飛び方が弱い!高い空で美しく輪をかいて飛ぶ、あのトビの姿はない。
「どうした!トビ」私は思わず声をあげた。
「なんとか舞い上がってくれ!」 「飛べトンビ!!」
長い時間のトビとカラスのせめぎあい…羽根をバタつかせて何とかトビはカラスの集団から離れた。 「そのままいけ……大空へ!」フワフワと羽ばたきながらトビは飛んだ!

 

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ポレポレハウス「2009夏」


ポレポレ

〜うちのちゃめ子〜

せっせっせーのヨイヨイヨイ

うちのちゃめ子は ほんとに困るね 々♪ 
台所するのに 涙がポーロポロ 々♪
その涙を たもとで ふきましょ 々♪  
ふいた たもとを川へもってて 洗いましょ 々♪
洗った たもとを  竿へもってて ほしましょ 々♪

少女の頃、私たちはこの「わらべうた」でよく遊びました。
姉や近所の女の子たちと2人一組になって大声でうたったものです。
私には遠いあの日、思い出のかなたからたぐり寄せたい大切な言葉があります。それは、母が私に向かって笑いながら「うちのちゃめ子ちゃん」と言った言葉です。
母とどんな会話をしていた時の言葉だったか、忘れてしまいましたが、あの時のやさしい母の声と笑い顔を私は忘れられずにいます。
だれにでも、きっと忘れられない風景や言葉がありますよね…

ほした たもとをたたみましょ 々♪
たたんだ たもとを タンスへ もってて しまいましょ 々♪
しまった たもとを ネズミがガーリガリ 々♪
かじった たもとを くず屋にもってて 売りましょ 々♪
売ったお金でまんじゅ買って食べましょ 々♪

かったか まけたか じゃんけんポン♪

 

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ポレポレハウス「2009春」


ポレポレ

〜ひなさま見しとくれ〜

ひなまつり…懐かしい言葉の響き…
私の幼い日の思い出……
貧しい我が家には、ひなさまはありませんでした。近所の友だちの家のひなさまがうらやましくてたまらない。

「ひなさま買ってちょうだい」とせがむ姉と私に、母はミシンの内職で内裏雛、女雛、三人官女、五人囃子と毎年一段ずつ買ってくれました。
やっとみんなの仲間入りが出来たうれしさに、小さなかごにひなあられや煎り豆を入れて、家々を回った。「ごめんくださ〜い、ひなさま見しとくれ、おぞてもほめるで…」
春風の吹く道を大声をあげて歌いながら走り回ったものです。お菓子をもらうと、かならず菓子を少しかごに入れてお返しをするのです。
「あれ……このひなあられ、うちでやったあられやよ……」と、一日の終わりの頃になるとお菓子はゴチャゴチャになっていました。
立派なひなさまがある家では甘酒をもらって飲みました……
男の子は仲間に入れないで、女の子だけでウキウキした一日でした。
     どこかで春が 生まれてる
       どこかで芽の出る 音がする
          山の三月 東風吹いて
            どこかで春が生まれてる
この歌と一緒に思い出す
「ひなさま見しとくれ、おぞてもほめるで……」

 

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ポレポレハウス「2008冬」


ポレポレ

〜びっくり峠〜

高山から荘川へぬける道…
ポレポレハウスに通じる峠道…
小鳥峠は標高1000メートル…
走行中、何度か耳のふさがりを感じ唾をゴックンと飲み込む。
峠の途中には乗鞍岳が、そのゆったりとした姿を見せ、御岳は雄々しくそびえたつ。
今は自動車でスイスイ越える峠だが、昔は大変な難所で、別名「びっくり峠」ともいった。

峠の春……重たい雪衣を脱ぎ捨てると、小鳥たちはいっせいに鳴きだす。芽吹きの色は、いきいきと野山を動かす。
頂上には座禅草や水芭蕉がムックリと出てきて、車をとめた人たちをしばしなごませる…。

峠の夏……みどり色にむせかえった木々や草地にはやかましいほどの鳥の声…虫の声…
「みんな生きてるよ!」ってコーラスしてる!

峠の秋……木や葉は少しづつ色づき始め、下のほうから祭り囃子と一緒にのぼってくる。
そして紅葉はいっきに走る!走る!走る!

峠の秋から冬……動物たちの通り道は、タヌキ・キツネ・シカ・カモシカ・イノシシ・クマたちなどの動物と共有する峠道!
「今年はクマがはやいこと、けもの道を横切っとったで冬は早いぞ…」と古老の言葉に冬の近づきを感じる。
峠の冬……小さな雪虫が飛び交うようになると峠はいよいよ冬…山も道も真っ白な雪。夫は時々、外に出てつぶやいている「また今年も峠に冬がきた…」と。
道幅もせまいデコボコ道…この峠を越えた昔の人も、峠の途中で雪にまみれつぶやいただろうか……
「こだけ険しい峠じゃで、小鳥峠はやっぱしびっくり峠じゃぞ…」と。

 

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ポレポレハウス「2008秋」




〜ほろほろ鳥〜

ほろほろと 鳴く山鳥の声 聞けば
父かとぞ思い 母かとぞ想う 想う
ほろほろ ほろほろ ほろほろと
ほろほろ ほろほろ ほろほろと

 この歌……もの悲しい旋律でゆっくりゆっくりと唄われます。
いつの頃、作られたのでしょう?私はこの歌をいつ覚えたのかわかりません。
でも、この歌を唄うたびに、私を産んでくれた母のことを思い出すのです…亡くなった母の年齢に近くなった今、一層鮮明に母のことを思い出すのです。

息子が幼なかったあの日……私は息子をおんぶして、夕陽を見ながらゆっくり坂道を歩いていました。ふっと唄いだしたこの歌……
  「ほろほろと鳴く山鳥の声 聞けば…」その時、背中にあったかい息と、こもった泣き声を感じて振り向きました。息子が私の背に顔を押し当てて泣いているではありませんか。3歳にも満たない小さな男の子は、この歌に胸ふるわせて泣いているのです。短いフレーズのこの歌は幼い心の一滴になったのでしょうか。
その息子が最近結婚しました。
結婚式の朝…私と夫は一枚の着物を手にしました。
夫の姉からゆずりうけた着物です。「私がお嫁に来た時、母が縫って、持たせてくれたもので、将来あんた達の子どもに着せてやって……」といただいた着物です。一針一針、丁寧に縫われたその着物……縫い目を撫でながら、一度も会えなかった義母への想いが込みあげてきて
唄っていました……

ほろほろと 鳴く山鳥の声 聞けば
父かとぞ思い 母かとぞ想う 想う
ほろほろ ほろほろ ほろほろと
ほろほろ ほろほろ ほろほろと

 

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ポレポレハウス「2008夏」




〜小さき命〜

私は、ここポレポレハウスの看板犬・マルチーズの「チルチル」と申します。
皆様がおいで下さった時、吠えまくり大歓迎のご挨拶をするあの犬が私なのでございます。
13年前に、スリッパの中にスッポリ入るくらい小さな犬でした。あれから、もう13年もたったのですか?私も年をとったもんです。最近「あくび」がよく出ましてネ「ファー」と大あくびをするたび、みんなに笑われるんです。「犬があくびするか?」って…犬だってあくびくらいしますよねェ…。
後ろの足が時々もつれるようになりましてネ「ステーン」こけちゃうこともあります。でもまだまだしっかり起き上がり歩きますよ。
そうそう私が少し大きくなった頃、色々なことを教えてもらいました。「お座り、お手、ふせ、待て」これくらいは朝めし前で、すぐに覚えちゃいました。でも、ひとつ苦手なことがありました…家の人と一緒に歩くことです。その頃は私はまだ子どもですから、何にでも興味があって道草ばかり。一緒に歩調をあわせて歩くなんてそんなこととても…。
うれしいことに、ポレポレハウスに移って住むようになったら、何と首輪も紐もつけないで、どこでも自由に歩いていいことになりました。「うれしい!」とさけびましたら、そのかわり「イケナイ、ダメ!」という言葉を厳しく教えられました。
私を自動車やその他の危険から守るためなんですって…。道に飛び出したり、自動車に向かって興奮して走り出したりしないこと…家の人が「イケナイ、ダメ!」と言ったら動かないことなどです。これは、とても難しくて覚えるのに苦労しました!最近、又ひとつ厄介なことがおきてきましてネ。
私、夜みんなが寝静まると「ウーワン」となきたくなるんです。寂しいような悲しい気持ちでみんなを呼びたくなるんです。
困りました…でも家の人はすぐ来てくれて「大丈夫、大丈夫」と抱いてくれます。
朝になれば元気が出て来てトコトコとポレポレハウスの周りを歩きまわります。やぎの「ゆきちゃん」にも「オハヨウサン」と声をかけ、朝のきれいな空気を胸いっぱい吸い込みます。「今日一日良い日でありますように…」「今日もまたポレポレハウスに来て下さるお客様に大きな声で吠えまくり、大歓迎のご挨拶できますように……ワン!」
飛騨絵本美術館ポレポレハウス

 

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ポレポレハウス「2008春」




〜芽デル・葉デル〜

春はいいもんですなァ
「スプリング ハズ カム」新しい芽が土の中から
ニョッキリ顔を出すと思わず「お前たち生きとったかいな……
あの重たい雪の下で…」と言いたくなりますわ、ホンマに!

ホレ……あのすずらん…ヒョロヒョロと小さい芽だしおって出てきますがな…
「あんたさん大丈夫ですかいな」って言いとおおます。
しかし、まぁたいしたものでっせ、あと半月もすりゃ、まーるい小さい花咲かしよりますがな…。

そして、ホレ……あのカサブランカですがな
あの花、芽のうちから存在感おますわ…!雪が消えるとすぐに坊やの可愛いオチンチンみたいな芽だしてからに日に日に大きくなりますがな…。思わず「よう出てきた、よう出てきた」そないゆうて芽のさきなでてやります。

ホレ、ホレ……あのぎぼしの事も話しときませんとあかんですわな…枯れた古株おしのけて三角の芽がそりゃぎょうさん出てきよります。夏は庭の主人公やさかい、芽出して、葉広げて、花さけせて、そりゃ力強いですわ…

目をちょこっと上げとくりやす。」あちこちに今年生まれたばっかの芽がこっちむいて笑ってまっせ…。わて、思わず鼻ピクピクさせて思いっきり息吸うてみますのや…
「フェ フェ フェックション」
まぁ…春の行事みたいなもんでおますわなァ…「フェ フェ フェックション」

「ケキョ ケキョ ケー」「あれあれあんたさん大丈夫ですかいなー」しげみの中から春の声が聞こえてきました。練習中デッカ?まぁじき、あんじょう鳴けるようになりますがな…きばりぃや…
「ホー ホケキョ」春ですわ!ホレホレ、さっそくきばりよったがな…

「ちりとてちん」見すぎちゃった
中沢由美子

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ポレポレハウス「2008冬」




〜エスキモーの挨拶…知っている?〜
私が子どもだった頃

「姉ちゃん……姉ちゃん」と、いつも私の後をついてくる弟がいた。この弟がまだ1才にもならない頃、大病をした。「もう助からまいなァ」と、まわりで大人たちがヒソヒソ話していた。
母の必死の看病で弟の幼い命は助かった。家の中がパッと明るくなったあの日、うれしくて、飛びはねていた、4才の頃の私デシタ。

「姉ちゃん、ションベ」弟はよく学校までついてきて、私の教室のうしろで遊んでいた。時々、小便がしたくなると私を大声で呼ぶ……。
「先生……弟を便所につれていってもいいですか」「いいですよ!」
今では考えられない教室の風景……。7才の頃の私デシタ。

私は給食を大急ぎで食べると、当番の仕事をするため、講堂の拭き掃除を始めた。すると校内放送が始まり、ものすごい音響で歌声が聞こえてきた。

♪エスキモーの挨拶 知っている? 知らないの?
相手の頭をコツンとぶつと 相手も頭をぶち返す
それがエスキモーのごあいさつ… チョト変ね、ウ・フ・フ
とっても変だわ ウフフ♪

「ヤッカマシーなぁ〜」と耳をふさぎながら「アレ、この歌は……たしか私が弟に教えた歌!」私は、雑巾を持ったまま走り出した。
放送室の戸をソーっと開けると、やっぱり小さな弟がマイクの前で胸をはり♪エスキモーの挨拶 知っている?♪と歌っている。その時、私の胸の奥から何か不思議な思いが突き上げてきて放送室の戸をソーっと閉めながら泣いていた
11才の頃の私デシタ。

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ポレポレハウス「2007秋」




〜ゆきちゃんが来た日〜

もしもし…ポレポレハウスさんですか。こちら子ノ原高原にあります塩尻山荘ですが、ヤギの子どもをそちらでもらってもらえませんか…?」

春のあったか〜いある日、アタシは生まれたの…
草むらの中でメェメェ泣いてたの…
母さんのオッパイ飲んで大きくなったアタシは、山の中をのびのび走り回れるようになったの……時々、母さんのオッパイをチュチュチュチュと飲むと、うれしくなってまた走るの……。
ポレポレハウスの父さん母さんがアタシに会いに来てくれた日のこと覚えているよ……。山道を自動車がのぼって来たので、アタシ自動車の前をピョンピョンピョーンと走って道案内をしてあげたわ……。
自動車を降りるなり「ゆきちゃん」とアタシを呼んでくれたよ……でも……ヤギの母さんのそばがいいから、あわてて母さんの後ろに隠れちゃったわ。

もう、だいぶ大きくなったから、いつ連れていってもらってもかまいませんよ…」と山荘の人…。
「ゆきちゃん…みんなが待ってるよ」と、ポレポレハウスの人。

ヤギの母さんにさよならするのちょっぴりさみしかったけど、アタシ、ポレポレハウスに来たの……
草をいっぱいいっぱい食べて大きくなるわ!
ヨ・ロ・シ・ク

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ポレポレハウス「2007夏」




〜猫ふんじゃった〜

オイラ達は、ポレポレハウスの看板猫でございます。
3年前、2匹とも手のひらにのるくらい小さい時、ここん家の庭でここん家の人に「ワァ…可愛い!」と抱きあげてもらってラッキーでございました。そんなわけでここん家の子になったというわけです。
オイラは兄貴分の夕日(ゆうひ)で、弟分は朝日(あさひ)と申します。
両方とも、この名前には、さしとて異存はござりません。
ただ夜になると、ここん家の人、オイラ達を外に出しちまうんです。「ひどいよ!」オイラ達が夜の暗闇の中でどんなめにあってるのか、ごぞんじですかねぇ。
この間なんか、誰か知らねぇヤツにいきなり耳かじられたんだ……イタかったぜェ。びっくりしたのなんの……
近くの木に逃げ登ったけど次が悪い……オイラ木からおりられなくて、かわいそうじゃないか!木のてっぺんで一晩中、ふるえてたってわけよ……
弟分はどういうわけか夜の外が好きなんだなぁ。10日間も外ほっつき歩いてヨレヨレになって帰ってきたんだぜアイツ!
オイラにはちょっと理解できねぇ行動だ……。
ここん家のオクさん、髪ふりみだして探してたぜ、アイツのこと。
ここにはよ…オイラがもっとも苦手なヤツがいるってこと知ってるかい?
カラス……あの黒いヤツ……カァカァうるさいヤツ……。
この間なんか、もうちょっとでカラスにこのオレサマの命ささげるところだったんだぜ……
ここん家のうらの草原で、いい気持ちでウトウトしてたオイラをカラスがつつきだしたんだ。
どこから集まってきたんだかしらねぇけどよ……オイラを20匹ほどで、取り囲んだってわけ。
腰抜かして動けずにジーッとしているオイラめがけてカラスどもひどいよ!
そのとき棒を振り回してここん家のオクさんがあらわれた……「コラァ!おらん家の猫に何する!!」と、カラスどもを追っ払ってくれたぜ。オイラ助かったなぁ!   「オクさん、ありがとう」
だけどよ……ここん家の太めのオクさん!オイラたちをいつもふんずけて歩くんだ。、
「ギャー!」カラスにつつかれるよりもっと痛い!暗闇で耳かじられるよりもっと痛い!
いくら忙しいからって、オイラをふんずけてドタドタ歩くのだけはやめてもらいたいもんだ。
ここん家のオクさん、オイラにあやまりもしないで

♪猫ふんじゃったァ 猫ふんじゃったァ♪

♪猫ふんづけちゃったら ひっかいた♪

なんて大声で歌いながら、走っていくんだから……モゥ……!


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ポレポレハウス「2007春」




〜峠の家〜

「この水仙はなぁ…死んだジィちゃんが植えていってくれたんや…」と
春になると畑の畝道に立っていつも私に話しかけてくる隣のバアちゃん。
小鳥峠の辻に、昔から一人で住んでいる82才…。
背筋がピンとしていて、とても80才をこえた人には見えない。
それでも離れて暮らす息子さんは、心配して時々様子を見にみえる。
野菜づくりを楽しみに、この地が大好きなバアちゃんを、なんとか町の生活に馴染ませる努力をしてみるが、なかなか大変。
連れて行くのだが、2・3日すると、すぐ峠の家へ帰ってきてしまう。
夫と共に子育てをしてきたこの地、この家……。
「野の知識や山の知識」を夫と2人の財産にして生きてきた、思い出のつまったこの家に。
夕方、バアちゃんの家に灯りがつく。白い煙がゆっくり立ちのぼる!
じいちゃんが植えていってくれた水仙に守られて、今日も…。

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ポレポレハウス「2007新春」



四月…
春のまつりが過ぎ、ようやく暖かさを
感じられるようになったとウキウキしていたのに……
今夜、又チラチラと雪が舞い始めました。
「もうすぐ咲くよ…」と張り切っていた
チューリップ・ムスカリ・パンジー・ビオラ・デージーなどの
幼い花の上にうっすらと雪が…!
ポレポレハウスには春が今年もゆっくりゆっくり訪れます。

春一番

ポレポレハウス裏に広がる
草原の小さなくぼ地
そこは、雪解け水が
湧き出るところ……
イノシシたちが
うりん坊を連れて
やって来る!
 一匹、二匹、三匹……
  五匹のうりん坊だ
   よく跳ねる!
ひがな一日
親子はエサを食む
「春が来た!」
イノシシたちの
食事風景は、
春のきざし…
春一番!
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ポレポレハウス「2006秋だより」



秋はいいな涼しくて
お米が実るよ 果物も
山からコロコロやってくる
秋はいいな 秋はいいな
赤い木の葉の 小人さん
山からチラチラやってくる

「暑〜い」と悲鳴をあげていたのにもう秋は深く…
まわりの木々はシックな装いになりました。
昨日は雪虫がお尻に白い綿毛を付けて飛んでいました。
雪虫は冬の使者です。
訪れる飛騨の冬をどうやって過ごしましょう。
 薪の用意は…
   雪囲いは…
     保存食は…
春の花の用意は…
ストーブの火は、秋に採れた野菜をおいしく煮込んでくれます。
冬、ダイヤモンドダストが美しい日には
外で温か〜いコーヒーが飲めるのを楽しみに、さぁ、冬を迎える準備はOKです。
秋の静けさの中で、絵本の世界をお楽しみ下さい。もちろん、おいしいお茶と
焼き菓子もご用意してお待ちしております。

 

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ポレポレハウス「2006夏だより」



はるかに海の見える丘
月の雫をすうて咲く
夢のお花の月見草
花咲く丘の月見草

長い梅雨があけると、暑〜い夏の到来で、みなさんいかがお過ごしですか。暑さに弱い私は扇風機にしがみつきたい気分です……。
8月になると、ポレポレハウスのまわりは黄色の花のオンパレードとなります。地球がゆっくりとまわって今日一日が終わろうとする頃には「ポッ」「ポッ」「ポッ」と月見草がまさにその名のとおり、月に向かって咲き出します。
花弁がゆっくりゆっくり1枚づつ開きだし、最後に「ポッ」と小さな花音をたてたかのように可憐に咲くのです。たった一夜の命を、月の雫を受けて、夢のように咲く月見草たち……。

 

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ポレポレハウス「2006春だより」



春になれば 氷も解けて
どじょっこだの ふなっこだの
夜があけたと思うべな

ポレポレハウスを包みこんでいた雪のかたまりが日増しに小さくなっていき、
とうとう五月中旬、全部の雪が消えました。
「長い冬だった……」
二メートルを越す積雪を見上げては、ため息をついていた冬でした。
裏山の木が、雪の重さに耐えかねて何本も折れてしまいました。特に松の大木が、悲鳴をあげながら次々とたおれていく姿は、たまらなく悲しい状景でした。
それでも四月に入ると、雪解け水は音をたてて沢を流れ出し、屋根からは「ポタン、ポタン」と水は流れ落ちて、いよいよ美しい春の訪れです。
この春、初めてポレポレハウスの前の空き地に植えた桜の木に、たくさん花がつきました。「てんぐ桜」と「達子桜」と名前がついています。オープンを記念して植えた桜の苗木です。「てんぐ桜」は、清見インターと運命を供にして消えてしまった「てんぐ山」から、村人の好意で、ここに運ばれ、植えました。「達子桜」は、友達の達子さんが届けてくれた「ソメイヨシノ」です。
その二本の桜は年々、その花の数を増やし、来年も再来年もずっとここに咲くでしょう。ポレポレハウスを訪れて下さる方たちの心に残る花を咲かせ、やがて大木となるでしょう。
この冬、折れて地に還っていく松の大木……そのどちらも「愛しい」春です。

 

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